年末年始の楽しみの一つに、福袋というものがある。
正月に販売される”袋詰めの商品セット”であり、縁起を担ぐ意味合いが込められている。
いわゆる、新年に福を呼び込むというやつだ。
実際、ワクワク感を味わうという意味では、一種のエンタメ感もあって楽しめる。
価格的に見てもお得なことが多い。
だが、お得なことと必要なことは全くの別問題だ。
俺の場合、いつも消耗品のコスメ福袋を買っている。
人気商品が欲しい場合、抽選に当たらなかったら諦めるのが賢明だ。
深夜から並ぶ転売屋には敵わないからだ。
福袋
ヨドバシ福袋の常連
俺は年末年始に販売されるヨドバシ福袋の常連だ。
毎年11月最終週から開催される抽選申し込みは、毎回楽しみにしている。
当選者の支払期限締め切り後は、二度目の再抽選も行われる。
といっても、抽選販売にはほぼ当たらない。
5年間の累計で、家族用に申し込んだレディースのコスメが当たっただけだ。
なので、毎年店頭まで行ってを購入している。
なんだかんだ年始の店頭セールの雰囲気も好きなので、嫌いではない。
山手線の音楽でなく、和のBGMが流れるのもいい感じだ。
店頭で買う場合は、予めネットの開封レビューを見てから行くようにしている。
というのも、抽選販売にあたった人が、SNSで報告をしてくれるからだ。
当選者に届くのは12月28日~である。
早いところだと年内に届いてしまうのだ。
購入するのはメンズコスメの夢
俺の目的はメンズコスメの夢だ。
整髪料、入浴セット、身だしなみケアグッズ等が入った福袋だ。
- 消耗品が多いので、処分に困らない
- 価格が1万以下なので、手が届きやすい
- 人気もそこまで無いので、手に入りやすい
- 普段は使わないブランドのアイテムを試せる
- アイテムのレビューが書ける
- 本当に不要なら、そのまま売れる
コスメアイテムというのは、人によって好みが分かれる。
自分磨きに興味が無い人は、そもそも買おうとは思わない。
見た目を気にしている人は、既にお気に入りのブランドがある。
なので、わざわざ新しいアイテムを試そうとは思わないのだ。
故に倍率もそこまで高くはならない。(それでも数十倍はある)
カメラ関係のデバイスも欲しいには欲しいのだが、あれは抽選倍率が高すぎる。
加えて、転売屋のライバルも多いため、諦めている。
深夜から並んでまで購入する価値はないだろう。
時計の夢はお勧めしない
俺は最初の頃は時計の夢も購入していた。
紳士時計と紳士小物がセットになった福袋だ。
だが、時計の福袋はランダム要素が大きすぎる。
中に入っている時計の種類が多すぎるためだ。
SNSでの報告を見ても、それと同じデザインの時計が入っているとは限らない。
俺は二回ほど購入したことがあるが、中身は両方ともオリエントだった。
オリエントのブランド自体は好きなのだが、そのデザインが気に入らなかった。
こちらはオリエントのスリースターという海外向けモデルを逆輸入したアイテムだ。
モデルはRA-AB0002Sである。
全体的に使っている色が安っぽく、のっぺりとしたデザインだ。
加えて、このアイテムは中国向けなため、曜日の部分が中国語表記にもなる。
“SUN”と書いてある場所が”星期日”となるのだ。
- ボールペン
- マツオカのレザーケース
- マンハッタンポーテージのウエストバッグ
- DAKSのハンカチ
- マフラー
こういったものもおまけでついてくるが、ほぼ必要ない。
これなら時計単体をもっといいものにしてほしい。
結局、購入したのはいいものの、売ってしまった。
購入にあたっての注意
価格を購入理由にするな
「迷う理由が価格なら買え、買う理由が価格なら買うな」
これはネットでよく言われる購買の言葉だ。
俺は的確に表現した言葉だといつも思っている。
確かに福袋は値段で見れば安いのは間違いない。
「2万円相当のアイテムが1万円で買えた」なんて報告はまさにそれだ。
確かにお得感も感じることだろう。
だが、問題はそのアイテムが本当に必要なのかということだ。
運試しのワクワク感もわかるが、いらないものを買うことほど高い買いものはない。
人気アイテムはまず買えない
ヨドバシの福袋には、倍率が極めて高くなる商品がある。
それが転売屋が狙っているアイテムだ。
- アップル製品や高性能カメラ(単価と需要が高いアイテム)
- ガンプラ(需要と供給のバランスがかみ合っていないアイテム)
- 日本国内限定販売アイテム(海外で高い需要)
これらの品は、購入できた時点で利益が確定したようなものだ。
そのため、抽選申し込みの倍率は当たり前のように数百倍になる。
店頭で購入する場合は深夜から並ばないとまず無理である。
転売屋の実態
謎の中国人集団
俺の地元にもヨドバシがあるのだが、そこでは年末の夜に決まって集団が現れる。
中国人転売屋である。
パターンはいつも決まっている。
まずは予めSNSで人員の募集がされる。
- 並ぶ場所と時間、購入する商品
- 商品を受け渡す場所の指示
- 報酬の額
そして、当日に現場にいる指示役と接触をする。
その後は店員から整理券をもらって列に並ぶというわけだ。
普段は中国人がいない店も、この時だけは異様な光景になる。
正直、怖くて近寄りがたい雰囲気である。
明らかに金のために何かが動いていると感じる。
代購(ダイゴウ)という巨大ビジネス
転売がここまで横行するのは、それが金になるからに他ならない。
例えば中国の場合、日本の商品を中国国内に輸出して販売する「代購(ダイゴウ)」が一つのビジネスモデルになっている。
彼らが福袋を大量に購入して、中国に送る仕組みができているのだ。
その後、商品はECサイトで販売される。
日本の製品は海外製品に比べれば、品質と信頼性には定評がある。
加えて、今は円安の影響で相対的に安く購入できるので、差額での利益も得やすい。
ものによっては定価の2倍以上で売れることも珍しくない。
こんなに美味しいビジネスチャンスを逃すわけが無いのである。
末端作業員の悲しい現実
だが、実際に大きな利益を得られるのは、転売の指示役と代購会社だけだ。
店頭で深夜から並んでいる外国人は、大した利益を得ることができない。
まず、彼らは末端の作業員ではあるが、転売組織との雇用関係は存在しない。
アルバイト感覚で雇われていると思う人が多いが、実際はアルバイトですらないのだ。
ただSNSを見て集まっただけの人間である。
- 時給は1000円~1500円
- 福袋を一つ確保するごとにボーナス2000円
こんな口約束で並んでいるのである。
ただ、ここには大きな落とし穴がある。
組織との雇用関係が無い以上、トラブルになったとしても責任を追及できないのだ。
報酬が約束より低い、そもそも払われないという事態も容易に想像できる。
加えて、現場の作業員は危険とも隣りあわせだ。
転売屋のイメージは良くないので、周りの客や店員からも排除される可能性が高い。
寒い中での長時間待機も、辛いものがある。
不法滞在者の可能性
もっとも、こんなことでしかお金を稼げないのは、本人に理由があるからに他ならない。
日本語の読み書きに問題があるかもしれないし、就労ビザも無いかもしれない。
かといって勉強は面倒だからやりたくない。
そんな人でも手っ取り早く稼ぐ方法が、転売に並ぶことなのだ。
少なくとも犯罪行為に手を染めるよりはリスクも低い。
法的にもグレーゾーンなので、捕まることも無い。
ただ、それで並んでいる人の人生が好転するわけでないのも事実だ。
まとめ
ヨドバシの福袋と転売屋について語ってみた。
正直、福袋は必要でないものが入っていることも多い。
価格面では確かにお得だが、いらないものはどんなに安くても不要だ。
加えて、人気の高いアイテムは抽選に外れれば、まず買うことはできない。
転売屋にも敵わないので、大人しく諦めたほうがいいだろう。