大学生や社会人になると、必ずといっていいほど受ける勧誘がある。
それがネットワークビジネスの勧誘だ。
ネズミ講やマルチレーベルマーケティングなど、手を替え品を替え、いつの時代も存在する迷惑な仕組みである。
俺は法律的にどうであれ、ネットワークビジネスの存在は社会のゴミだと思っている。
とは言っても、情報弱者がカモにされるのは、資本主義の宿命だ。
だから俺たちは勉強して自分の身は自分で守らなくてはいけない。
今回は実際に俺がどのようにしてニュースキンに勧誘され、辞めたのかを解説する。
ニュースキンとの出会い
一人暮らしで寂しかった
全ての始まりは一人暮らしである。
俺は親との関係は良好だったが、一人暮らしはできる時にやっておきたかったというのがあった。
- 結婚や介護
- 経済的理由
- 体力や気分
やりたいと思ったときにできなくなるのは嫌だったのだ。
しかし、一人暮らしを始めた当初は本当に寂しかった。
今まで当たり前のように話していた家族がいないので、当然である。
そこで、俺はあろうことかネットを使って新しい友達を作ろうとした。
残念だが、社会人がネット上で友人を作ると言うのはほぼ無理である。
なぜなら、社会人にとってのネットでの出会いとは利益のための活動に他ならないからだ。
ティンダーで出会う ネット上に出会にまともなものはほぼない
俺は当時、ティンダーという共通の趣味で盛り上がるようなアプリを使っていた。
ネット上にまともな出会いというのはほぼ存在しない。
そして、ニュースキンの会員(以降勧誘者)にまんまと目をつけられてしまう。
なぜなら、俺はプロフィールに以下の情報を記載していたからだ。
- 住んでいる町→実際に会って勧誘できる距離かどうか
- 好きな趣味→旅行やブランド、車等があれば金が必要なので、ビジネスを提案できる
- 自分磨きが好き→ニュースキンの化粧品を違和感なく紹介できる
正直、勧誘者にとってプロフィールほど都合のいい情報は存在しない。
見るだけで、ターゲットを簡単に見つけられるからだ。
ニュースキンを紹介されるまでの手口
1回目はカフェで雑談
勧誘者とマッチングした後は、軽いメッセージを交わした後、実際に会いましょうとなった。
昼間に男同士で会うのだから、別に警戒する理由もなかった。
場所も知っている場所だったのが大きい。
そして、1時間ほど雑談をしたところで、その日は終わった。
おそらく、次の勧誘の予定が入っていたのだろう。
今思い返せば、不自然なくらい話を熱心に聞いてくれる人だったかもしれない。
人間は自分の話を聞いてくれる人に、無意識に好意を持ってしまう。
目的はもちろん次につなげるためだ。
2回目は知り合いのレストランに行こう
2回目はレストランで美味しいものを食べようとなった。
しかし、ここからが問題である。
「知り合いがやっているイタリアンがあるのですが、いかがですか?」
これが勧誘者の口説き文句であった。
イタリアンが嫌いな人はあまりいないので、断られることはまずない。
そもそも会話が目的なので、料理自体はなんでもいい。
勘のいい人は、ここで怪しいと思っただろう。
提案された場所にこそ、紹介したい人がいるのである。
何も知らない人からすれば、知り合いがやっているお店なんてものは、すごく聞こえる。
もしかしたらサービスもしてくれると期待するかもしれない。
だが、そんな都合のいいことは世の中では起きない。
そのレストランがネットワークビジネスグループの拠点だったからだ。
実際はレストランではなく、使っていないバーの貸しスペースである。
料理自体も、イタリアンというより普通の家庭料理だ。
そこの店長という設定の男こそが、勧誘者が所属するグループのリーダーだった。
あらかじめ打ち合わせは当然してあり、俺は勧誘者、リーダーと話をすることになる。
- 仕事は何をやっているの?すごいね!
- スポーツカーが好きなんだ?憧れるよね!
- 歯列矯正や脱毛まで?美意識高いね!
そして、自然な流れでビジネスの話を紹介される。
もし興味があるなら、やり方を後日教えるよ?と。
ここで「いえ、興味ないです」と断ればいいと思ったかもしれない。
だが、それは結果がわかっているから言えることだ。
俺の場合、「ここで断ったら、今まで通りのつまらない人生のままだ」、「別に話を聞くだけなら…」という思いが強かった。
3回目はビジネスの話
3回目はニュースキンのネットワークビジネスのモデルについて、名ばかり店長と一対一でプレゼンをされた。
場所は街のカフェの屋外スペースである。
ネットワークビジネス系の話は、店内でやると店側から注意される可能性もあるからだ。
俺はプレゼンをされた後、「やっぱりネットワークビジネスか…」となった。
「もし本当に興味があるなら、夢リストを100個書いて来週の金曜日までに俺に見せてほしい」
「こっちも本当にやる気のある人だけに教えたいから」
俺自身はもう引き返しにくいレベルまで進んでしまっていた。
何故ネットワークビジネスなのに、断らないのか?
このままでは何も変わらないとわかっているでは?
もしかしたらこの人は本物のすごい人なのかもしれない?
「いえ、今日の21時まで仕上げて提出します!」
俺はリーダーに対してこのように回答してしまった。
そして、人は自分の言葉には嘘をつけない生き物である。
俺は帰宅後、本当に夢リストを100個書き、その日のうちにリーダーに提出してしまった。
活動内容
セミナー、イベント、新規会員探し
俺は正式に会員になると、イベントやセミナーにどんどん参加した。
三回だけ参加したセミナーはよくあるビジネス一般論であり、特段凄い話ではない。
加えて毎回1000円の参加費をとられるので、出費も地味に痛い。
本気で取り組むには、「多少の痛み」を伴う必要がありますというのが主催者の言い分だった。
確かに無料だったら、どうせタダだからすぐに辞めてしまうというのはある。
だが、有料だからといって価値が高いかと言えば、そんなこともない。
イベントは新規会員を勧誘するための餌だ。
BBQ、ボードゲーム、ゴルフ、カラオケ、フットサル等の運動、こういったものは全て勧誘活動である。
ネット上で知り合った相手から上記の誘いを受けたら、まずネットワークビジネスと判断していい。
健全なものはほぼ存在しない。
加えて、俺は新規会員の獲得活動もやっていた。
いわゆるビジネスを紹介して、自分の下についてもらうための活動である。
これをやらないと、いつまでも権利収入が得られないからだ。
ただ、この活動はネットワークビジネス会員同士が出会ってしまう確率も非常に高かった。
- 実はあそこのタワマンに住んでいる
- 時計は偽物、中古、借り物のウブロやロレックス
- 愛車は高級外車
- ボルダリングやジムなど、意識高い系アピール
今思い返せば、出会った人はみんなこんな感じであった。
本当にそれだけの経済力があるなら、ネットワークビジネスなんてやる必要はないのだが。
俺は自分がビジネスの会員となって活動することで、後戻りできないように洗脳されていた
面倒くさくなったので辞めた
だが、終わりは突然訪れる。
毎月の商品の購入、新規会員の獲得活動、セミナーへの参加…
これは維持コストが高すぎると思ったからだ。
俺は元々スキンケアに興味があったこともあり、スタート時に15万円くらいの商材も購入していた。
- 化粧品、乳液、クレンジングオイル
- 美顔器
- 歯磨き粉
- サプリメント3ヶ月分
使ってみた感想は、どう考えても15万円の価値はないというものだった。
身体の改善は短期間で結果が出ないのはわかる。
だが、それにしては高すぎる。
俺はクーリングオフを申請し、購入した商品は全て工場に送り返した。
なので、15万円は失わずに済んだ。
同時に、紹介者やリーダーにも辞める連絡をした。
当然、引き留めはあったが、文章を見る時間も無駄だったので俺はラインをブロックして終わらせた。
というより、実際にメッセージや会って話をしてしまうと、気持ちが揺らいでしまうからだ。
相手は何百人も騙してきたプロなので、ここらへんの心理は熟知しているため危険なのだ。
とにかく、これ以上接点持たないことが大切である。
犯罪ビジネスに巻き込まれないために
ネットは上手に使い、決して使われるな
ネット上の出会いは、基本的にロクなものは存在しない。
有料のマッチングアプリですら、犯罪者は簡単に紛れ込むことができる。
なので、ネット上に情報を公開する時は、必ず誰かが狙っているということを認識する必要がある。
- 金のかかる趣味の写真(車、旅行、ハイブランド)
- 自分の年収
- 女性なら容姿の写真
もちろん、何も公開しなければ安全ではある。
しかし、それでは新しい可能性がないのも事実だ。
加えて、今の時代はほぼ全ての人が何らかの形で犯罪ビジネスに巻き込まれている。
個人情報の流出を防ぐことは、もはや不可能な時代である。
- 荷物の不在通知
- 当選が当たった
- NHKのお話
- ウイルスに感染しました表示
なので、犯罪ビジネスを完全に避けることはできない。
であれば、見抜くことができるようになるのが大切だ。
他人が用意したビジネスモデルに、美味しいものはない
美味しい話は一般人には降りてこない。
本当に美味しい話なのであれば、それを他人に教えるのは自らの利益を減らすことにつながる。
教えた人がライバルになる可能性があるからだ。
何故他人にそんな致命的な情報を教えなくてはいけないのだろうか。
人が儲かる話を教えるのは、以下の場合のみである
- 紹介すると自分にお金が入る
- SNSで自分の知名度や実績を上げるため
- ポンジスキームや高額商材
- 全くのでたらめ
なので、人から教えてもらった儲け話は、嘘か時代遅れだと思うのが合理的な判断になる。
犯罪者相手に良心や罪悪感はいらない
もし既に巻き込まれてしまった場合は、キッパリと関係を断つことが必要だ。
その際、相手は個人情報を盾に言い訳や脅しをかけてくるだろう。
しかし、相手は犯罪者なので、法の壁を超えてきている時点でまともな人間ではない。
述べる言葉も全て心理学を巧みに利用した嘘だけである。
話し合うだけ無駄なので、関わってはいけない。
とにかく関係を断ち、連絡は全てブロックすることだ。
メッセージを見る行為すらダメである。
不安を抱かせた恐怖の感情を利用しようとする犯罪者もいるからだ。
とにかくブロックして、関係を遮断することが大切だ。
まとめ
俺がニュースキンのネットワークビジネスに巻き込まれた話をしてみた。
正直、ネットワークビジネスは誰にでも巻き込まれる可能性がある。
所得格差の広がった現代なら、なおさらである。
どんなに理論武装しても、ちょっとした心の隙を犯罪者は狙ってくる。
冷静な状態で「俺は大丈夫」と思っても、その場で冷静な判断ができるとは限らない。
もしネットワークビジネスと分かったなら、即座に犯罪者との関係を断つことを俺は勧める。
たとえビジネスだろうと、犯罪者と関わるとろくなことにはならない。
まともに話すだけ無駄である。