【コラム】スーパーカー販売員、夢を売るための現実

コラム

「いつかは夢のハイブランドを所有したい」

こんな風に思っている人は、いつの時代も存在する。

実際、俺もスーパーカーが好きで、運転できるものならしてみたい。

もちろん現実的には厳しいので、プラモデルを所有するだけで満足している。

ただ、販売店に行くのだけは誰でもできる。

今回は俺がスーパーカーディーラーに行って見えてきた、販売員の理想と現実の話をしたい。

まず結論から言えば、働いているスタッフは夢を見せる仕事を演じているだけだ。

扱っている商材が高価でも、その人自身がすごいわけではない。

俺たちと同じ普通の会社員で、日々販売ノルマと戦っているのである。

すべてが特別な演出

投資を頑張る目標が欲しい

俺は一時期投資にハマって、調子に乗っていたことがある。

ちなみに、結果から言えば投資は大失敗し、みごとに大金を失っている。

投資にのめりこむようになると、相応の目標設定が欲しくなる。

そのとき俺が考えたのが、スーパーカーであった。

今考えれば、投資でスーパーカーを買えるようになるというのはあまりにも非現実的だ。

元値が数億円あるならまだしも、数百万程度ではリスクの大きい投資をするしかないからだ。

それは投資ではなく、ギャンブルだ。

ただ、当時の俺はそんなことは一切考えていなかった。

俺は今まで興味も無かったのに、急に車に興味を持つようになった。

投資を頑張るための記念品が欲しい。

俺はスーパーカーディーラーでグッズを購入することにした。

店内の雰囲気は非日常そのもの

俺はみなとみらいにあるランボルギーニのディーラーを訪問した。

今までショーウィンドウ越しに車を見たことはあったが、実際に中に入るのは初めてだ。

店内に入ると、場の空気が変わるのをはっきりと感じた。

静まり返った広い空間には、車が3台だけ佇んでいる。

どれも近寄りがたい雰囲気を放ち、特別感を演出している。

ただ、店内にスタッフの雰囲気は無かった。

後でわかったことなのだが、ラグジュアリーな体験を重視するスーパーカーディーラーでは、急な来客は想定していない。

常にアポイントメントが求められるのだ。

たとえグッズ購入や小規模な質問目的でも、予約をしていったほうが店側も対応しやすいだろう。

俺は奥の事務所に行き、グッズを購入したい旨を伝えた。

そして、ボールペンを4000円ほどで購入した。

スタッフがブランドロゴの入ったショッパーと、小規模なカタログ冊子を付けてくれたことは嬉しかった。

ネットの通販でも同じようなものはもちろん買える。

ただ、店頭でしかできない体験というのもあるのも事実だ。

この後も何回か訪問しており、ネクタイや水筒等も買っている。

販売員側の事情

商品は有名、会社は無名

ランボギーニは確かに世界的に有名なブランドだ。

Youtuberやインフルエンサーの影響もあり、良くも悪くも名前は知られている。

だが、ディーラーはあくまでもランボルギーニの看板を借りて商売をしているだけだ。

つまり、運営会社は全く別だ。

みなとみらいのディーラーの場合、ボロネーゼ株式会社というところが運営している。

複数の高級車ブランドを取り扱うSKY GROUPの一員だ。

もちろん、大半の人はそんな会社は知らないだろう。

実際、俺もこの記事を書くまで知らなかった。

結局、華やかな空間を演出するディーラーも、ふたを開けてみれば普通の会社なのである。

しかも会社自体にブランド力は無く、メーカーという製造元が育てたブランド力の恩恵を受けているという形だ。

といっても、このような販売形態は小売業界ではよくあることだ。

夢を売るための現実

スーパーカーは基本的に夢を売る仕事である。

そのために、高級感や非日常感を演出することが常に求められている。

ある意味、ディズニーのキャストとスーパーカーディーラーは同じである。

顧客が「特別扱いされている」と感じるサービスを提供するからだ。

ただ、華やかさの裏には苦労も絶えない。

当然のように売上ノルマはあるし、給料も労力に対して割にあわないと感じるだろう。

正直、大手自動車メーカーのほうが、よっぽど待遇はいい。

だが、それでもそこで働きたい人が、夢を売る仕事をしている。

もちろん、いつまでもやりがいだけでは生活はできない。

表面的には煌びやかな世界も、実際は「夢を売るための現実」が見えてくるからだ。

夢だけでは生きていけない

キラキラした業界の将来性

  • ファッション・アパレル業界
  • エンタメ業界
  • 高級ホテル、高級飲食業界
  • 航空業界

スーパーカーに限らず、見た目の華やかな業界は、裏では厳しいのが常だ。

華やかな表舞台は、あくまでも演出であるからだ。

労働環境も厳しいところが多く、夢ややりがいだけでは生きていけないのが現実だ。

俺は体感的に、スーパーカーディーラーには若い人が多い印象を受ける。

ブランドイメージ的には情熱や活力があっていいかもしれない。

見た目的にも受けがいいのは事実だろう。

企業側としても、人件費を削減しやすいという理由もある。

だが、いつまでも続けられる仕事ではないという現実もあるのだろう。

結局は何を重視するか

結局、最終的には自分が何を求めるのかで幸福感は変わってくる。

そして、その価値観は年齢と共に必ず変化する。

例えば、若い時はとにかくお金が欲しいと思う人は多い。

だが、ある程度の収入が確保されると、今度は時間が欲しいとなる。

仕事がつまらなければ、やりがいが欲しいともなるだろう。

自分の中で優先順位を明確にすることが、幸福への近道だと俺は考える。

ちなみに、俺の場合は何よりも時間を重視して今の仕事を選んでいる。

結局、どんなに給料が高くても、自由時間が無ければ挑戦や好きなこともできないからだ。

まとめ

ハイブランドスタッフとその現実を語ってみた。

扱っている商材とスタッフの待遇は全く関連は無い。

キラキラした世界というのは、確かに心地のいいものだ。

洗練された空間や非日常感は、本当に貴重な体験である。

ただ、全ては演出されたものであり、必ず見えない裏側の世界が存在する。

こういったところに焦点を当てると、世の中のイメージもまた変わって見えてくるだろう。

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