歯列矯正をしている日本人はたったの2割程度と言われている。
小学生のころから何気なく矯正をしている人たちを見てきたが、あれは貴重な2割の存在だったのだ。
もちろん、本当はやりたい人は5割ほどいると聞く。
しかし、保険が効かない高額な治療費が参入障壁となり、なかなか踏み出せない現実がある。
今回は俺が実際に行った表側ワイヤー矯正の体験談を語りたい。
かかったお金は治療代、通院費、維持費も含めて100万円は超えている。
それでも、俺は矯正はした方がいいと考える。
歯は一生付き合うので、得られるメリットも大きいからだ。
何故歯列矯正を始めることになったのか
先天性欠損歯という圧倒的ハンデ
「先天性欠損歯」
乳歯から永久歯に生え変わる段階で、永久歯が生えてこなかった歯である。
珍しいケースでは乳歯の段階で生えてこない場合もある。
10人に1人、つまり1割の割合で発生する面倒な症状である。
で、俺は見事にその10%に選ばれてしまったわけだ。
- かみ合わせが悪くなる
- 他の歯が隙間を補おうと傾く
- 見た目が悪くなる
- 歯列矯正治療と人口歯をいれる治療が必要
とにかく最悪な問題なわけだ。
先天性の症状ではあるが、矯正治療には保険は効かない。
しかも、俺の場合は欠損歯の場所が上顎の側切歯(中心から数えて2番目の前歯)だった。
とにかく非常に目立っていたわけである。
欲しいものが無かった
幸いなことに、当時の俺には十分な貯金があった。
いわゆる陰キャだったこともあり、趣味もインドアなゲームやカードが基本だった。
- 実家暮らし
- ゲームや洋服は基本的に中古やメルカリ
- 旅行は行かない
- 車に興味が無い
- 彼女いない
加えてお金を使うような予定も無かったため、貯金だけはそれなりにあったのだ。
どうせお金を使うなら、すぐ飽きるのではなく長く使うものに使いたいと考えていた。
そして、自分の身体は最強の投資先であると考え、歯列矯正を開始する決断をした。
矯正にはいくつか種類があるが、俺が選択したのは古くからある手法の表側ワイヤー矯正だ。
マウスピース矯正はコストやつけ外しの観点からは優れている。
だが、俺は定期的に歯医者に歯を診てもらいたかったのだ。
加えて、欠損歯も抱えていたため、治療が難しいという問題もあった。
具体的なステップ
虫歯の治療
歯列矯正と言っても、いきなり開始をできるわけではない。
まず、治療の障害となる虫歯や親知らずを排除する必要がある。
これをやらないと、問題が起きた時に装置を取り外す可能性が出てくるからだ。
当然、余計な追加コストもかかってしまう。
俺は高校生の頃、6本の虫歯を無自覚に抱えていたことがある。
そのうち3本はC2レベルの症状で、見事にインレーの銀歯(詰め物)になってしまった。
この時の銀歯は悪化することはあれど、良くなることは決してない。
将来的には再治療の可能性もでてくるだろう。
検査の結果、CO(シーオー)レベルの虫歯が1本だけ見つかった。
治療するか経過観察かは微妙なレベルとは言われたが、それでも俺は治療してもらった。
俺が歯医者に行くのをお勧めするのは、自分では気づかない虫歯が存在するからだ。
なぜなら、素人は虫歯に気が付けないからだ。
気が付く虫歯というのはC2レベル以降、虫歯の症状が進行して痛みを伴うようになってからである。
だが、この時点で虫歯はエナメル質の奥の象牙質に進んでしまっている。
つまり対処が遅すぎるのである。
なので、早めの対処をするためにも歯医者に行くことをお勧めしたい。
自分では落とせない歯石の除去もできるので一石二鳥だ。
装置の装着
ワイヤー装置の取り付けまでは、短期間に何度も通院する必要がある。
俺の場合は一週間~二週間に一回の頻度で通院し、装置を取り付けた。
- セパレーターの装着
- バンドの取り付け
- ブラケット矯正装置の装着
- アーチワイヤーの取り付け
治療の準備ができたら、まずはセパレーターという装置を取り付ける。
それっぽい名前だが、要するに輪ゴムである。
装置を取り付けるための隙間が必要なので、輪ゴムで歯に隙間を作るのだ。
次にバンドというワイヤーを固定するための装置を取り付ける。
金属の輪っかを奥歯に取り付けるのだ。
この歯には大きな強制力がかかるので、専用の器具があるわけだ。
そして、ブラケット矯正装置を一本一本の歯にとりつけていく。
これが歯につくと、いよいよ矯正が始まるという感じだ。
最後に、ブラケットとバンドをアーチワイヤーワイヤーで締め上げる。
ここから、歯には痛みが生じることになる。
痛い=歯が動こうとしているという意味だ。
月一度の通院
ワイヤー矯正は月に一度の通院が必要だ。
緩くなったワイヤーを交換し、歯の状態も確認する必要があるからだ。
当然ワイヤーは締めなおすので、また痛みが発生する。
このサイクルは装置を取り外すまで、俺の場合は2年弱続くことになった。
毎回5500円という地味に痛い出費がかかるのも面倒な点だ。
もちろん、これは初回に払う矯正治療代とは別料金だ。
辛かったこと
治療費が高い
俺の場合、合計100万以上は歯列矯正に使っている。
治療費が高額なのは表側ワイヤー矯正に限った話ではないが、それでもやはり高い。
- 矯正治療費 71万円
- 月一の来院 5500×2年弱=15万円
- インプラント治療費 約70万
俺の場合、欠損歯の治療でインプラントも必要だったので、さらに価格は跳ね上がる。
もちろん、保険適用の入れ歯やブリッジにすれば、ここの価格は抑えられる。
だが、金属のフックが目立つ入れ歯は、前歯には適さない。
フックが目立たないノンクラスプデンチャーというものもあるが、これは保険適用外で結局高額だ。
おまけに他の歯の迷惑にもなり、インプラントよりも寿命が短いのも問題だ。
ブリッジに関しては、左右の健康な前歯を削るという本末転倒な治療になっている。
歯の価値は一本100万以上はする。
ブリッジ治療をしている時点で、大きな損失なのだ。
先天性欠損歯である時点で、100万以上は治療にかかると思ってほしい。
ワイヤー矯正は不便な点が多い
これはワイヤー矯正治療の特徴だが、とにかく最初は痛いのである。
もちろん、痛みは時間と共に慣れてはくる。
しかし、月一の通院でワイヤーを交換して締めなおすので、また痛くなるのだ。
他にもデメリットが存在する。
- ブラケット装置が口内で引っかかり口内炎が多発する
- 汚れがたまりやすいので歯磨きが大変
- デンタルフロスを歯の上から入れられなくなる
- 見た目が目立つ
装置を外すまでは、とにかく不便なことが多い。
加えて、ブラケット装置が外れたとしても終わりではない。
次はリテーナーという逆戻りを防ぐための保定装置を付けないといけない。
だが、ワイヤー装置に比べれば百倍マシだ。
食事と歯磨きの時は取り外せるからだ。
着用期間はワイヤー矯正と同じ期間とはされている。
しかし、リテーナーは綺麗な歯並びを維持するという役割もある。
歯並びは一度綺麗になっても、生活次第でまた乱れてしまうのだ。
リテーナーは綺麗な歯並びをずっと維持するため、寝る時だけはつけ続ける人も多い。
良かったこと
歯を大切にする習慣
とにかく歯を大切にする習慣が持てたのは良かった。
なんせ総額150万以上は使っているので、なんとしてでも歯を守りたくなるからだ。
- 食後の歯磨き
- デンタルフロス
- マウスウォッシュ
- 定期健診
- 間食を控える
社会人は虫歯や歯周病を放置していることも多い。
忙しさを言い訳に、歯磨きの習慣を持たない社会人は大勢いる。
そういう人はだいたい口臭がきつい人である。
すると今度はマスクで誤魔化し始める。
そして、気が付いた時には高額な治療費がかかるというパターンだ。
最も、金さえあればいくらでも治療はできる。
オールオン4なんていう歯をすべてインプラントに置き換える手術も存在する。
相場は250万~300万程度である。
ただ、歯のためにここまで出すくらいなら、普段から手入れをしっかりしたほうがいい。
仕事で忙しいから面倒というのだろうが、手遅れになってからでは遅い。
仕事の人付き合いは一時的だが、歯は一生付き合う相棒だ。
しっかりとケアをするようにしたい。
笑顔に自身がもてた
やはり笑顔が第一印象では一番いい。
笑わない人というのは印象がよくない。
本人はかっこつけているつもりなのかもしれない。
感情を表に出さないことが知的とも思うのかもしれない。
だが、それは相手が決めることであって自分ではない。
笑顔は良好な第一印象や人間関係の構築にも大変有効なので、しっかり使いたい。
まとめ
矯正治療はとにかく高いし、不便な点も多い。
だが、歯は一生付き合う資産であり、飽きというものが存在しない。
車やブランドにお金を使うのもいいが、自分の身体にもお金を使うこともお勧めする。