【コラム】やった者勝ちの現実?泣き寝入りという自動車窃盗のリアルな現状

コラム

自動車窃盗はやったもの勝ちだ。

冒頭から納得できない言葉かもしれないが、これが社会の現実である。

苦労して手に入れた車も、犯罪者の小遣い稼ぎに使われてしまうのだ。

だが、そんな日本でも俺たちは生きていかなくてはいけない。

今回は自動車窃盗について語っていく。

お金のあるものというのは、常に誰かが狙っていると思った方がいい。

自動車盗難の現実

憧れの車と現実

こちらはトヨタの高級スポーツカーであるスープラである。

俺も十分なお金があるのであれば、こんな車をいつかは運転してみたい。

だが、現実問題として車両本体価格と維持費がネックになる。

  • 車両本体価格500万~700万
  • 車検費用 年間5万
  • 自動車税 年間5万
  • 保険料 年間10万
  • ガソリン代 年間12万
  • 駐車場代 都心部で年間18万

年間の維持費は50万~70万程度はかかってしまう。

今の俺では、とてもじゃないが手が出せない車だ。

しかも、こういった高級車はセキュリティー対策も万全にしなくてはいけない。

日本では連日のようにニュースでは窃盗被害が流れ、深刻な社会問題となっている。

車に興味がある以上、これは他人事ではない。

国内の自動車盗難件数

年間で5762件、これは2023年度に発生した、自動車窃盗の認知件数である。

自動車窃盗は都心部に多く、千葉、愛知、埼玉、茨木、神奈川等に集中している。

これら5県だけでも、全体の5.5割を占めているのだ。

しかも、検挙率は4割程度にとどまっているという。

つまり、6割の自動車窃盗は成功しているのだ。

加えて、この4割はほぼ実行犯(末端の窃盗役)である。

実行犯は捨て駒のようなものなので、替えはいくらでも効く。

結果的に実行犯だけが捕まって終わりというパターンが繰り返されるのだ。

その背後にいる組織の黒幕や密輸ルート関係者は、まず捕まらない。

彼らが直接手を下しているわけではないので、あしがつきにくいからだ。

リスクよりもリターンのほうが大きいという現実は、窃盗団にとってはメリットしかない。

自動車窃盗が無くならないのも納得だ。

なお、意外かもしれないが、東京は自動車窃盗ワースト5には含まれていない。

2022年のデータでは、9位にとどまっている。

というのも、東京は交通量と駐車環境がよろしくないため、車をそもそも持たない人が多いからだ。

確かに一部の高所得者は、高価な車を保有している。

だが、そういった類の車のオーナーは、セキュリティーも厳重だ。

簡単には盗めない、売れない仕組みがあるのだ。

車はまず無傷で戻ってこない

一般的に、窃盗被害にあった車が戻ってくる、見つかる確率は、3割程度と言われている。

仮に戻ってきたとしても、無傷な状態はほぼあり得ない。

ボロボロになった状態、パーツが抜き取られた状態で発見されることが大半だからだ。

  • 愛車が盗まれたという精神的なダメージ
  • 保険に加入していても全額は戻ってこない
  • 盗難履歴により市場価値の低下
  • 法的手続きによる手間と時間

結果として、被害者が一方的に損をする仕組みが出来上がっているのだ。

その金銭的、精神的な負担は計り知れないものがあるだろう。

国や警察は当然助けてはくれない。

自動車盗難は、オーナー自身が自分で対策をするしかないのである。

狙われる車とパーツ

狙われる車種

狙われる車種は多岐にわたるが、全ては需要と供給という構造のもとに決まっている。

欲しい人が多くなれば窃盗件数も増え、需要が無ければ件数は減る。

また、窃盗のしやすさという観点で、市場の流通量も重要だ。

2023年の自動車盗難件数に関するデータは以下の通りだ。

順位車種盗難件数
1トヨタ ランドクルーザー383件
2トヨタ アルファード364件
3トヨタ プリウス307件
4レクサス LX120件
5トヨタ ハイエース60件
6トヨタ クラウン53件
7トヨタ ヴェルファイア43件
8レクサス RX42件
9トヨタ ハリアー37件
10メルセデス・ベンツ37件

データは日本損害保険協会が2024年3月に発表した「第25回自動車盗難事故実態調査結果」である。

トヨタのブランドが大半を占めるのは、トヨタが最も海外市場で売られている車だからである。

認知度が高いということは、それだけ需要が高くなる可能性もあるからだ。

盗まれた車は、海外に持ち出され、売りさばかれる構造がある。

国内で盗難車がそのまま使われる可能性は極めて低い。

日本では所有者や登録情報が厳密に管理され、車検や整備記録の確認で盗難車だと発覚するからだ。

だが、海外ならそんな心配はない。

東南アジア、中東、アフリカ等の地域に密輸され、売りさばかれるのである。

こういった地域の国々では、まだまだ法体制が緩い地域も多い。

盗難車が当たり前のように売られていたりする地域もあるくらいである。

パーツ目的

ではトヨタでなければ安心なのかというと、そうでもない。

車両本体目的でなく、パーツ目的で盗難されるケースも多いからだ。

  • ホイール
  • エンジンパーツ
  • トランスミッション

国内外を問わず、カスタマイズは車好きにはたまらない趣味の一つだ。

だが、パーツそのものが希少で、なかなか手に入らないという現実もある。

特に古い車種や限定モデルはその傾向が強い。

メーカーが既に生産を打ち切っているからだ。

そんな需要に、盗難車のパーツはもってこいなのだ。

正規ルートで手に入らないパーツを、中古市場や闇市場で高額でも購入する人は多い。

一部の旧型スポーツカーは、異常なほど人気がある車種もある。

おまけに、古い車種は最新の防犯システムが装備されていない。

それなのに高額で闇市場に売ることができる。

ローリスク・ハイリターンという窃盗団にとっては最高の条件なのだ。

予防策

車は盗まれるという意識を持つ

まず、車は狙われているという意識を持つことが大切だ。

そのため、セキュリティーにも最大限にお金をかけるべきだ。

車というのは移動手段に過ぎないと思う人もいるかもしれない。

だが、実態は資産でもある。

屋外に500万円の価値があるものを放置すれば、狙う人は必ずいる。

どんなにセキュリティーを厳重にしても、金のためならそれすら破る人はいくらでもいる。

実際、セキュリティーとそれを破る方法はいたちごっこのようなものだからだ。

  • 整備士や車に詳しい技術者
  • 無職や生活に困窮している人
  • 運転手や配送業務関係の人
  • 暴力団や元犯罪者

様々な人が自動車窃盗にはかかわり、組織的な仕組みを作り上げている。

防犯システムに慢心することなく、常に警戒しておくことが何よりも重要だ。

もしセキュリティーを厳重にできないなら、盗まれやすい車は購入すべきではない。

不用意に見せびらかさない

せっかく苦労して購入した車であれば、誰もが見せびらかしたいものである。

これはハイブランドの車やバッグ等にも同じことが言える。

SNS等で自慢をして、承認欲求を満たしたい気持ちもよくわかる。

俺だっておそらくやってしまうと思う。

だが、資産を見せびらかす行為は、必ず犯罪者との接点を作ってしまう。

金目のものを持っているとわかれば、彼らが狙ってくるからである。

もちろん、セキュリティー対策を厳重にしたうえでならまだいいかもしれない。

だが、基本的に資産を自慢するような行為は、多くのデメリットがある。

決して不用意に見せびらかすのはお勧めしない。

まとめ

自動車窃盗について語ってみた。

正直、今の日本では自動車窃盗はやったもの勝ちである。

犯罪者は捕まらず、被害者は一方的に損失を被る仕組みがあるからだ。

国や警察は助けてはくれない。

であれば、自分の身は自分たちで守るしかない。

車は常に狙われているという意識を持ち、セキュリティー意識をしっかり持つべきなのだ。

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