「権威や実績のある人ほど疑ってかかれ」
これは俺が生きていく中で大切にしているモットーである。
今回はインプラントの治療で歯科大学に20万円を取られそうになった話を紹介する。
有名な先生、実績がある、大学病院だから安心、こんな言葉にはぜひとも気を付けてほしい。
結論から言えば、高額な買い物はセカンドオピニオン、他との見比べは必須条件である。
わからなくなったら、その場では決断せず、家に持ち帰ることが大切だ。
離れて冷静になれば、しっかりと何が必要で何がいらないのかは判断できるからだ。
インプラント治療
歯列矯正後のインプラント
俺は先天性欠損歯という問題を持ってた。
生まれつき、もしくは乳歯から永久歯に生え変わるタイミングで歯が生えてこなかったのである。
そのため、歯に隙間が生じてしまい歯並びがガタガタになっていた。
さすがにこのままではヤバいと思い、歯列矯正を近所の矯正歯科で開始した。
そして、矯正治療が終わると、今度は生えてこなかった歯をどのようにカバーするのかという問題になった。
選択肢は4つである。
- 何もしない(患者ファーストの観点では重要な選択肢)
- 入れ歯を使う
- ブリッジ治療を行う
- インプラントを行う
何もしない、ブリッジ治療というのはそもそも選択肢に無かった。
何もしないのであれば、最初から矯正治療も行わないからだ。
ブリッジは両方の健康な歯を削らなくてはいけないため、選択肢から除外した。
残る入れ歯とインプラントで迷いが生じていたのである。
入れ歯と言っても、自由診療なら見た目に優れた入れ歯を作ることができる。
金属のフックが目立たないデンチャーという歯茎と一体化したように見えるタイプだ。
歯茎に穴を開けなくて済むのは大きい。
しかし、インプラントもメリットは存在する。
手入れが普通の歯磨きと同じで済むし、両サイドの歯に負担をかけなくて済むというメリットもある。
歯医者に定期的の通うのは、インプラントをしていようといまいと、どうせ必要なことだから問題では無かった。
結果、俺はインプラントを選択することにした。
インプラントの見積もりだけで3万円を失う
通っていた矯正歯科の先生に紹介されたのが、問題の歯科大学病院の先生である。
俺はさっそくインプラント治療の見積もりを取るために、紹介状と共に大学病院に向かった。
教育期間も兼ねていることもあり、設備はしっかりしていたし、説明も丁寧だった。
しかし、問題はその見積もりの取り方だった。
当初は歯の型を作成するため、ピンク色の硬質化する材料を歯に塗って型どりを始めた。
しかし、この方法は俺が当時付けていたブラケット矯正装置のためにうまくいかなかった。
表面のポッチの部分が邪魔をしてしまうからだ。
すると、担当医はこんな提案をしてきた。
「最新の機材で歯の表面をスキャンして3Dデータを作成する方法もありますよ?」
「もっとも、保険対象外になりますので、2万円ほどかかりますが…」
この際、俺は断ればよかったと本当に後悔している。
予め知っていたのならまだしも、いきなり2万円というのは…
もちろん、相手側は断りにくいのわかった上で提案しているのは百も承知だ。
というのも、矯正装置をつけた段階では、その方法でしか見積もりが出せないからだ。
インプラント歯科医は「矯正器具があるので、3Dスキャンしか方法が無い」と言う。
矯正歯科医は「今後の治療方針のために一度インプラント歯科医に見てもらいたい」と言う。
俺に残された選択肢は、高いお金を払うしかなった。
しかし、冷静に考えてみてほしい。
まだその病院でインプラント治療をやるかどうかは決まっていない。
ただ見積もりを取るだけなのに、いきなり2万円も追加で払うのは酷である。
しかし、当時の俺は冷静に判断ができなかった。
- インプラントだから高額になるのは当たり前
- 大学病院だから安心
- わざわざ紹介状もあるのだから、変な人じゃないはず
- ここまで診てもらったのに、断るのは申し訳ない
完全に相手の戦略にハマってしまい、初回診療代と合わせ、3万3000円を今後の治療方針と見積もりのために払うことになってしまった。
自由診療ビジネス
相場を逸脱した価格設定
そして、後日インプラント治療費の内訳を記載した見積もりを受け取った。
見積もりの価格は驚きの70万円であった。
さすがにこの価格を見て、俺はおかしいと実感した。
いくらインプラントが自由診療とはいえ、高すぎる。
都心とはいえ、相場は35万~55万ほどであるからだ。
しかも、既に約3万円を見積もりのためだけにとられている。
俺は冷静になって、最終的にそこの大学病院でインプラント手術を受けるのを辞めた。
他社で15万ほど安く見積もり
俺が冷静になれたのは、セカンドオピニオンの存在である。
あまりに高すぎると思ったため、自分でインプラントの評判がいい医院を探して見積もりを取ってもらったのだ。
そこで見つけたのが、インプラント治療で有名な「きぬた歯科」というところである。
見積書作成はもちろん、歯科大学で2万円の費用を払ったCTスキャンも無料で行ってくれた。
価格も55万円と歯科大より15万円も安くしてくれたから驚きだ。
もちろん、治療費は安ければいいというものでもない。
- 信頼できる4大ブランドのインプラントを使っているか(ストローマンやノーベルバイオケア等)
- 担当者の経験年数と実績
- アフターフォローの体制
- 万が一のトラブル時の補償
- しっかり一時手術と二次手術を分けているか
どんなに安くても、これらの要素が欠けていれば、結果として高くつくことにもつながる。
追加で費用が掛かってしまうからだ。
高いからいいというわけでもないが、安すぎるのも問題なのだ。
ちなみに、歯科大も「きぬた歯科」も治療後のアフターサポート体制はバッチリのようだった。
肌治療でインプラントは保留に
とはいえ、現時点で俺はインプラントをまだやっていない。
というのも、シミ・そばかす治療を先に開始してしまったからだ。
この治療はイオン導入という電気を使用した方法を使う。
そして、その電気治療がインプラントと相性が悪いらしいのだ。
この注意点は契約書にもしっかりと明記はされていた。
電気を使った治療がインプラントに反応し、電磁過敏症という症状を引き起こす場合があるらしい。
家庭用の美顔器でも、同じようなことが起きる場合もあるとか。
これにかかると、頭痛や体調不良に悩まされるという。
ただ、あくまでも可能性の問題であって、専門家でも意見が分かれる。
医院側としては、リスク排除のために真偽はさておき、明記していると言ったところだろう。
ただ、こちらとしてもインプラント治療から離れることで、改めて冷静に判断ができたのでよかったといえる。
同じような事態に陥らないために
常に疑いの目を持つ
まず、病院は営利団体であるという認識を強く持つ必要があると感じた。
彼らの目的は金儲けであって、治療はそのための手段に過ぎない。
極端な話、金が稼げないなら、患者を治療をする価値は無いのである。
どんなに知名度があろうが、設備が綺麗だろうが、先生が優しかろうが、鵜呑みは厳禁である。
個人的には紹介状も怪しいと思っている。
あれは当院ではこちらの患者に必要とされる治療が提供できないので、そちらでお願いしますというものだ。治療の経過や情報も共有されることがある。
紹介料の受け取りは禁止になっているが、真偽は不明である。
何故なら、病院はビジネスであり、金儲けの場所だからだ。
わざわざ紹介状を書く以上、それなりの見返りを違反にならない範囲でお願いしますというのはあっても不思議ではない。
高額な買い物はその場で決断しない
どうしてもわからないのであれば、その場で決断しないというのが大事だ。
面倒かもしれないが、大金を失うよりははるかにマシである。
人間は冷静に判断できない状態になると、普段では考えられないことも平気でやってしまう。
どんなに理論武装をしても、冷静さを失えば崩れるのはあっという間だ。
だから詐欺というのは一向に減らないし、次から次に新手の手法も確立されるのだ。
- あなただから教える
- 次のお客さんが待っている
- ベテランの先生や弁護士もいるから大丈夫
- 複数人対1人の状況を作らせる
- 相手の善意に付け込む
これらの言葉で焦らせて、契約に持ち込むのである。
今この記事を読んでいるあなたは冷静な状態なので、そんなのに引っかかるわけが無いと思うだろう。
実際その通りで、相手が冷静な状態で理論武装をしていれば、詐欺はほぼ成功しない。
もしわからなくなったら、逃げるようになってもいいので、とにかくその場を離れてほしい。
相手は所詮ビジネスなので、いくらでもそんな状況は経験しているので問題は無い。
というより、詐欺行為や犯罪行為を平気で行う人にはまともな感情などは存在しないから大丈夫だ。
お得意の「ビジネスですから割り切っています」である。
まとめ
今回は歯科大学で約20万円を失いそうになった話をした。
見積もりのためだけに払った3万円は戻ってはこないが、残りのお金はしっかり守ることができた。
インプラントに限った話ではないが、高額な買い物は絶対にその場で一人で決め手はいけない。
必ず家に持ち帰り、冷静になって判断してほしい。