レザー素材というのは高級感を演出するうえでは欠かせないアイテムだ。
同じアイテムでも、ナイロンと本革レザーでは印象もだいぶ異なる。
だが、ロマンばかりを追い求めると失敗することもある。
今回は俺が購入したレザーバッグ、ヘルツのBC-73について紹介したい。
結論から言えば、このバッグを使いこなすことはできなかった。
確かにおしゃれで、作りも頑丈そのものだ。
だが、あまりにも取り扱いが不便すぎる。
ロマンだけを追求した結果、痛い目に遭ってしまった。
ヘルツとは
レザーメーカー
ヘルツは1973年創業の国産革製品ブランドである。
日本国内に工房兼店舗を構え、職人が一つ一つ丁寧に手作りしているのが特徴だ。
ちなみにHERZヘルツとはドイツ語で心臓や心を意味する。
「心を込めて製品を作る」という思いが込められているとされているのだ。
俺は表参道の工房に行き、店と商品の雰囲気を味わった。
店の中はレザー製品独特の匂いがし、いたるところに革製品が展示されている。
財布、ベルト、鞄、小物…
まさにクラフツマンシップにあふれたブランドなのだ。
- 長く使える丈夫なアイテム
- シンプルなデザイン
- エイジングやカスタマイズを楽しみたい
こういった需要がある人には、ヘルツはおすすめである。
見た目、質感、耐久性には根強い人気があるのも事実だ。
カバンの代替品として検討
そもそも俺がヘルツを検討したのは、普段使いに使っていた鞄を交換するためだ。
それまで使っていた鞄がナイロンで安っぽいカバンだったため、高級感のある鞄が欲しかったのだ。
- マザーハウス
- イルビゾンデ
- ヘルツ
- ゲンテン
これらのブランドから検討し、俺が魅力を惹かれたのはヘルツだった。
俺は普段から自転車に乗る関係上、リュックサックになるタイプしか検討しなかった。
そこでBC-73というモデルを見つける。
さすがに新品で買うのは高かったので、俺はメルカリで購入することにした。
購入価格は2万9000円だった。
使ってみた感想
重すぎる
“重すぎる”というのが正直な感想だ。
BC-73は中身が空でも重さが約2キロもある。
サイズ | 横幅 | 高さ | マチ | 重量 |
M | 35cm | 26cm | 8cm | 1.9kg |
L | 38cm | 27cm | 8cm | 2.0kg |
店頭で同じモデルを手に取った際は、そこまで違和感を感じなかった。
だが、実際に中に荷物が入ると、想像以上に重かったのだ。
ちなみに俺は身長180センチで、体重は72キロだ。
決して体型が貧相なわけではない。
鞄が重たくなるから、無駄なものは入れたくない。
モノをたくさん入れないなら、大きな鞄は必要ない。
であれば、そもそもヘルツを使う必要はない。
愛着があれば不便さも乗り越えられるかと思ったが、現実は甘くなかった。
丈夫さを追求して分厚い革を使った分、重さに皺寄せが来てしまったのだ。
また、鞄の中には仕切りが存在しない。
小さな小物をいれれば、当然中で動いてしまう。
結局インナーバッグを買うことになり、それがまたカバンを重くする要因にもなるのだ。
もしヘルツの鞄も、形はそのままに、重さや価格を抑えたものがあれば、話は違ったのかもしれない。
正直、大きすぎる鞄というのは扱いにくい。
結局、俺はヘルツをうまく使いこなすことはできなかった。
手入れに気を使う
レザー製品特有の手入れも気になった。
ヘルツは安くないアイテムだ。
俺が購入したモデルも、新品は当時で6万500円もする鞄だった。
俺は中古で2万9000円で購入したが、それでも高い。
これだけ高いと、大切に使いたいという気持ちは誰でも湧いてくる。
だが、オールレザーでできた鞄は、非常にデリケートなアイテムである。
- 雨や水に濡らしたり、湿気の多い場所は厳禁
- 強い摩擦や引っ掻きで傷がつきやすい
- 高温や低温は革の変形やひび割れを生じさせる
- 1〜3ヶ月に一回革専用クリームでメンテナンス
例えば、夏場に水筒を入れようものなら、中で染みの原因になることもある。
鞄は箱形でかさばるので、注意していてもぶつけてしまうこともある。
傷や汚れも味といえば響きはいいだろう。
だが、高価な買い物である以上、汚くはしたくないのは当然だ。
こうなると、普段使いのカバンとして毎日使いにくくなってしまう。
安定した取引価格
使いにくいヘルツではあったが、良かった箇所もあった。
それは、人気ブランドなため、値崩れがしにくいということだ。
俺は29000円でヘルツのカバンを買ったが、売るときは3万6000円で売れた。
手数料や配送料もあるが、実質タダでヘルツを試せたのだ。
高値でも購入したい顧客がいるのは、それだけヘルツが魅力的なブランドだからだ。
また、新品のヘルツは手に入れるまでに時間がかかるという問題もある。
鞄は完全オーダーメイド製だ。
顧客から注文を受けて、そこから作り始めるのである。
この際、色や素材、パーツのカスタマイズ等もできる。
完成までの期間は種類にもよるが、2、3ヶ月程度はかかってしまう。
まるでちょっとした車並みだ。
この期間というのは、今すぐヘルツを試したい人には正直長すぎる。
そんな人からすれば、中古のヘルツは魅力的だ。
価格が新品より安く、すぐに手に入るからだ。
学んだこと
次回のカバン選びに活かされる
ヘルツにおける失敗は、次の鞄選びに活かされた。
- シンプルなデザイン
- レザーの高級感
- 取り回しやすい重さとサイズ
- リセールバリューを考える
俺はこれらを総合して、イルビゾンデのトートバッグを中古で購入している。
ヘルツの失敗があったからこそ、このカバンにたどり着くことができたと思っている。
イルビゾンデのトートバッグはシンプルで使いやすいカバンである。
だが、仮に売ることになったとしても一定の需要はある。
安くてよいアイテムを選択するのもいいとは思う。
だが、リセールバリューを考えてブランドを買うというのも1つの選択肢ではある。
なお、現在でもヘルツの定期入れは使っている。
丈夫さは健在で、さすがはヘルツである。
人は不便さにも魅力を感じる
おしゃれと機能性は相反する存在である。
ヘルツの鞄は確かにロマンはあるが、正直使いにくさが目立つ。
もちろん、その不便さを楽しむのが浪漫ではあるので、気持ちはわかる。
- 機械式時計
- スポーツカー
- テーラードジャケット
- 手入れの面倒な髪型
- 手紙
こういったものは、機能性で見れば不便なこともあるだろう。
例えば、時計はつけなくてもスマホでなんとかなってしまう。
だが、それ以上にそのデザインや仕組みに魅力を感じるからこそ、愛用者もいるのだ。
実際、俺もいくつかは愛用している。
まとめ
ヘルツ鞄の失敗談を語ってみた。
ロマンだけでは使いこなせないアイテムというのは、世の中に存在する。
だが、失敗を通すことで、そこから学びがあるのは事実だ。
もしヘルツの鞄を検討するようであれば、最初は中古の小さいサイズから始めたほうがいい。
重たい大型サイズは、本当に疲れる。
よっぽど愛着がないと、使いこなすのは到底無理である。