【コラム】医療脱毛アリシアクリニック破産 お金は戻らない、それでも前を向く――俺の経験則

コラム

2024年の12月10日、大手医療脱もクリニックのアリシアクリニックがに経営破綻した。

負債総額は124億円、被害者は9万人以上にのぼるとされている。

エステ脱毛ではなく、医療脱毛が破綻するのは珍しい。

こういうニュースを聞くと、俺も他人事ではないなと感じることがある。

実際にゴリラクリニックで脱毛や肌治療の施術をしているからだ。

医療脱毛ではないが、実際に詐欺にあったこともある。

正直、一般消費者には見分けようが無い。

どんなに気を付けていても、騙される可能性は誰にでもある。

俺たちにできることは、失敗から学んで、次に活かすことだけである。

そうすれば、過去の失敗も、未来の成功の種になる可能性があるからだ。

アリシアクリニックとは

全国展開の医療脱毛会社

医療用レーザーを用いた脱毛サービスを提供していた大手の会社だ。

創業は2010年で、ピーク時の2021年4月期には年収入が163億円もあったという。

ワンシーズン限定のエステ脱毛と違い、医療脱毛だったという特徴もある。

医療脱毛は法的規制も強いことから信頼性と効果も高く、安心という側面もあっただろう。

東京を中心に全国40店舗以上展開している。

東京だけで19店舗、神奈川、千葉、埼玉と合わせて13店舗なので、ほぼ首都圏がメインだ。

店舗数や運営年数だけで考えれば、俺が通っているゴリラクリニックよりも多い。

俺もアリシアクリニックで脱毛契約していた可能性は十分にあったかもしれない。

2024年に12月10日に経営破綻

しかし、2024年12月10日、アリシアクリニックは経営破綻に追い込まれる。

  • コロナウィルスによる顧客の減少
  • 広告費の増大
  • 脱毛業界の競争激化

これらが基本的な理由とはされているが、どれも一般的なよくある話である。

負債総額は124億円、被害者は9万人以上にのぼる。

一人当たりの被害額は約15万円程度なのだが、これは未施術分の代金なので、実際はもっと多いだだろう。

顧客は中途半端に施術をされて、満足とはならないからだ。

20回プランのコース中、1回しか受けられていないという人も存在する。

クリニック側は、「事前に支払われた未施術分の返金は極めて困難」という言い方をしている。

平たく言えば「お金は返せません」ということだ。

消費者からすれば詐欺同然のビジネスだ。

撤退の判断を誤った経営陣

問題の根本は、経営陣が撤退の判断を完全に見誤ったことにある。

どんなビジネスでも、失敗はつきものだ。

そんな時は、負債が少ない、つまり立て直しが利く状態で早期撤退をするのが正しい選択だ。

だが、人間は一度成功体験をしてしまうと、過ちを認めたくなくなる生き物だ。

  • 全国に40店舗も展開した実績と163億円の年収
  • 長い年月をかけて築いた取引先や顧客との信頼関係
  • 同業他社だって危険な橋は渡っているはず

「俺の判断が間違っているわけがない」

経営陣にこのような考えがはびこり、周りも止められなくなる。

まあ、実際経営陣はわかっていたのかもしれない。

だが、それを作業員の労働者に知らせる必要性はどこにもない。

その結果、あろうことか施術や新規契約は破綻の前日まで行われた。

利用者からすれば、完全に騙さたということになる。

残酷な現実

詐欺の立証はできない

利用者からすれば、立派な詐欺事件である。

事前にお金だけ受け取って、サービスを提供しないのだから当たり前である。

だが、現実問題として詐欺の立証は難しい。

因果関係の説明ができないからだ。

あくまでも経営できなくなっただけで、実際に施術は行われていた。

2010年からの創業と全国40店舗の存在、それに伴う体験談や口コミが何よりの証拠だ。

顧客満足度も高かったというデータも残っている。

「経営は立て直すつもりだった」、「だますつもりは微塵も無かった」と言われればそれまでだ。

料金も前払い制でなければ、消費者は不満も出なかったはずだ。

もっとも、経営できなくなるとわかった段階で撤退しなかったのは、完全に会社側の落ち度だ。

ただ、負債を抱えた企業を責めていたら、誰もビジネスができなくなるのも事実である。

成功すれば税金をたくさん取られ、失敗すれば詐欺と言われる。

こんなルールでは、誰もやりたいとは思わないだろう。

予め見極めるのは困難

こういう事件が起きると、決まって現れるのが知識人ぶった発言をする人だ。

「事前によく調べない本人が悪い」というアレだ。

  • 競合他社と比較しないから
  • 安すぎるところを選んだから
  • 院内の雰囲気や従業員の態度等の予兆があったはず
  • 評判や経営状況まで確認すべき

ただ、関係ない第三者はいくらでも言うことができる。

実際自分が契約する立場になったら、本当に上記のことをするのだろうか。

俺は歯列矯正や医療脱毛、肌治療と様々な施術を受けている。

だが、評判や価格くらいしか確認はしていない。

会社の経営状況など、全く調べていないし、見方もわからない。

仮に評判や経営状況を調べたとしても、それが本当の情報だという確証もどこにもない。

金で情報や信頼を作り出すことは簡単にできる。

毎日の仕事でいっぱいいっぱいな従業員は、そもそも経営状況には興味を示さない。

つまり、予め破綻する会社を見極めるというのは、ほぼ無理なのである。

すべては結果論だ。

というか、そんなことができる人物なら、株やベンチャーキャピタルで大儲けができる。

だが、実際に成功できるのは本当にごく一握りで、多くは失敗している。

つまり、現実は知識人が指摘するほど簡単ではないということだ。

お金に関して

被害者がとれる手段

被害者がとれる手段はいくつかはあるが、どれも実現の可能性は低いとみてほしい。

まずはクレジットカードを利用していた場合は、「チャージバック」というシステムを使うことだ。

サービス未提供ぶんのお金を返してもらうためだ。

だが、チャージバックはカード会社の「権利」であって「義務」ではない。

発行会社もビジネスでやっている以上、そこの判断は極めてシビアである。

悪用する輩が必ず存在するからだ。

当然返金保証もなく、期間の制限や書類手続き等の面倒な条件もある。

実際は「騙されたからチャージバックですぐに解決」とはならないだろう。

ローン契約についても同じことが言える。

まず、ローン会社側にはなんの落ち度もない。

彼らはただ支払いを肩代わりしているだけだ。

本来であれば支払うのは顧客側なので、そもそも負債を受け入れる理由もない。

お金を肩代わりするというのは、相応のリスクもある分、条件も厳しい。

もちろん、契約書をしっかりと熟読している人はいないだろうが。

ただ、全額ではないにしろ、減額を求めるくらいはできるかもしれない。

相談の余地はあるだろう。

救済詐欺に騙されるな

こういいった事件が起きると、必ずと言っていいほど救済詐欺が起きる。

  • 弁護士
  • 団体訴訟
  • 被害者の会
  • 他の医療脱毛クリニックからの救済プラン

救済詐欺は社会的に信頼性のある権威を利用することが多い。

大学生や社会人にとって、全身脱毛に支払った70万円や80万円というお金は大金だ。

被害者は藁にもすがる思いでお金を取り返したいはずだ。

だが、その心情を利用して、新たにカモにしてやろうと考える人物は数多くいる。

「私に任せていただければ、お金を取り戻してみせます」

こんな言葉には気を付けてほしい。

裁判に勝つことと、お金が返ってくることは全くの別問題だ。

当たり前だが、救済はビジネスであり、慈善事業ではない。

そうでなければ、なぜ自分とは関係ない赤の他人のために、わざわざ動く必要があるのだろうか。

下手をすれば、自分にも被害者の矛先が向く可能性もある。

そこにお金や知名度というメリットがあるから、動く人がいるのである。

救済プランは疑ってかかれ

俺は他の医療脱毛クリニックからの救済プランも気を付けるべきだと思っている。

  • アリシアクリニック被害にあわれた方限定プラン
  • 契約書と施術状況の確認だけでOK

こういうのが一番詐欺師にとってはやりやすい条件だ。

というのも、利用者側が「救済プランを提示したクリニックが騙すわけがない」と思っているからだ。

一度騙された人間というのは、二回目は騙されないという自信がある。

だが、そのおごりが命取りなのだ。

確かにビジネスチャンスであることは事実だ。

約9万人のニーズを獲得できれば、それだけで利益は大きく伸ばせる。

クレーマーというのは、正しく対処すればファンにも変えることはできる。

だが、救済というのは負の面も同時に背負い込むことになる。

  • 被害者は追加の支払いは嫌
  • 偽造もできる契約書や支払い状況の確認
  • 中途半端な施術状況
  • トラブルを抱えているので、扱いが面倒

不満を抱えた顧客というのは、扱いを間違えれば新たなトラブルの元である。

それを処理するのは、現場スタッフであって経営陣ではない。

現場からすれば救済プランなど願い下げである。

下手をすれば自社の評判を下げかねない選択でもある。

救済プランというのは魅力的な話に聞こえるかもしれない。

だが、甘い話には必ず裏があることをわかってほしい。

これからどうすべきか

恨むのはやめろ

まず、辛いかもしれないが、恨むのはやめろということだ。

  • 絶対に復讐する
  • 責任者を特定するまで追い続ける
  • SNSで誹謗中傷を繰りかえす

はっきり言うが、費やしている時間と労力の無駄である。

俺も騙された経験があるので、被害者の気持ちは痛いほどわかる。

投資と自分磨きは違うかもしれないが、お金を失ったのは同じことだ。

詐欺師は本当に腹立たしい。

だが、負の感情は何の解決策も生み出さない。

詐欺師のやったもの勝ちと思うかもしれない。

実際、彼らは捕まることも無く、のほほんと暮らしていることだろう。

ほとぼりが冷めたら、名前を変えて新しいビジネスを始めるに違いない。

そして、大金持ちになるか、新たな被害者を生み出すかのどちらかだ。

だが、これが日本の社会である。

悔しいなら努力するしかない

俺たちにできる唯一のことは、失敗を教訓に行動することしかない。

今後の人生の生き方を考えてほしいということだ。

俺の場合、騙されたことで良くも悪くも疑い深い人間にはなってしまった。

だが、同時に頑張る理由ができたのも事実だ。

  • 勉強を頑張ってみる
  • 自分で何か副業をやってみる
  • 筋トレをしてみる
  • ポジティヴシンキングをしてみる

愚痴を言っているだけでは何も解決しない。

学んで行動に移せるのであれば、過去の失敗は成功につながる種になる。

それを大きくできるかは、自分の行動次第である。

少なくとも、愚痴を言っているだけよりは可能性がある。

まとめ

アリシアクリニックの破綻について、俺なりの見解をまとめてみた。

正直、俺は被害者ではないので、なんとでも言うことはできる。

だが、実際に俺自身も別の詐欺被害にあったこと、医療脱毛を契約していたのは事実だ。

詐欺というのは本当に許せないし、腹立たしい。

詐欺師は捕まることも無く、名前を変えて新しいビジネスを始めることだろう。

だが、そんな社会でも俺たちは生きていかなくてはいけない。

できるのは、過去を嘆くのではなく、未来に向かって行動をすることだけだ。

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